インドへの進出形態
- 1. 進出形態の種類
- 2. 具体的特徴
- (1) 現地法人
- (a) 事業活動の範囲
- (b) 資金調達
- (c) 法人税
- (d) 撤退
- (2) 支店(Branch Office)
- (a) 事業活動の範囲
- 物品の輸出入
- 専門サービス又はコンサルティングサービスの提供
- 日本本社が行っている事業分野の調査活動
- 日本本社又は海外グループ会社とインド企業間の技術的・財務的提携関係の促進
- インドにおける日本本社の代表行為、及び購入・販売代理としての活動
- インドにおける情報技術及びソフトウェア開発分野におけるサービス提供
- 日本本社又はグル―プ会社によって供給された製品に対する技術的サポート提供
- 外国の航空及び船舶会社
- (b) 資金調達
- (c) 法人税
- (d) 撤退
- 支店を閉鎖する場合は、一定の必要書類をインド準備銀行が認定するAD Category-I Bankを通じてインド準備銀行に提出する必要がある。
- (3) プロジェクト・オフィス(Project Office)
- (a) 事業活動の範囲
- (b) 資金調達
- (c) 法人税
- (d) 撤退
- (4) 駐在員事務所(Liaison Office)
- (a) 事業内容
- 日本本社又はグループ会社のインドにおける代表行為
- インドとの間の輸出入の促進
- 日本本社又はグループ会社とインド企業間の技術的・財務的提携関係の促進
- 日本本社とインド企業間の連絡窓口としての活動
- (b) 資金調達
- (c) 法人税
- (d) 撤退
インドの法規上、日系企業を含む外国企業がインドに設立することが許されている事業拠点の形態は、主に現地法人(会社)、支店、プロジェクト・オフィス、駐在員事務所の4つとされている 。
現地法人は、最も一般的な進出形態であり、多くの日本企業もインドに現地法人を設立して事業を行っている。現地法人の場合、外国直接投資規制の範囲内でかつ基本定款(Memorandum of Association)記載の事業目的の範囲内で自由に事業活動を行うことができる。
現地法人の資金調達手段としては、増資及び借入れという手段がある。増資については、その使用目的に制限はないが、増資のためには取締役会決議に加え、場合によっては株主総会の特別決議が必要となる。借入れに関しては、インド国内の銀行からの借入れ及び日本の親会社からの借入れ(対外商業借入・ECB)が考えられる。前者に関しては、使用目的に制限はないが日本に比べて高金利であること、及び現地の銀行の多くは、日本の親会社の信用ではなく現地法人自体の信用で融資の有無を決定することから、融資を受けることが困難な場合もあり得る。後者に関しては、ECBによって調達した資金は原則として運転資金には利用できず、利用するためには厳しい要件を充たす必要がある。
現地法人に対する法人税(Income Tax)の実効税率は、累進課税に基づき30.90%から34.61%である(2015年度予算案)。
現地法人を閉鎖してインドから撤退する場合、原則として、①裁判所による清算(Winding-up by the court)もしくは、②自主清算(Voluntary winding-up)によって会社を清算する必要がある。いずれの清算においても、管轄の高等裁判所における手続きが必要である。
支店は、通達によって規定される一定の事業活動のみ行うことが許されている。具体的な事業活動内容は以下のとおりである。
支店はそれ自体法人格を有しないため、インド国内の銀行から借入れを行うことはできない。しかし、日本の本社からの送金により資金調達を行うことができる。
支店に対する法人税(Income Tax)の実効税率は、累進課税に基づき41.20%から43.26%である(2015年度予算案)。
プロジェクト・オフィスは、インド国内のインフラ整備等、特定のプロジェクトの遂行に関する活動を行うことが認められている。
プロジェクト・オフィスは、そのプロジェクト資金が海外からの送金によって供給されることが設置条件の一つとされていることから、日本の本社からの送金により資金調達を行うことができる。
プロジェクト・オフィスに対する法人税(Income Tax)の実効税率は、累進課税に基づき41.20%から43.26%である(2015年度予算案)。
プロジェクト・オフィスは、当該プロジェクトが終了すると閉鎖されることが予定されている。その場合、一定の必要書類をインド準備銀行が認定するAD Category-I Bankを通じてインド準備銀行に提出する必要がある。
駐在員事務所は、通達によって規定される一定の事業活動(非営利活動)のみ行うことが許されている。具体的な事業活動内容は以下のとおりである。
駐在員事務所は、その事務所維持のための経費等の活動費用について、日本の本社からの送金によってその全額を調達しなければならない。
駐在員事務所は営利活動を行うことが認められていないため、法人税(Income Tax)の課税対象とはならない。
駐在員事務所を閉鎖する場合、一定の必要書類をインド準備銀行が認定するAD Category-I Bankを通じてインド準備銀行に提出する必要がある。