シンガポールにおける労務管理/解雇規制

2016年2月12日更新

 シンガポールの労働法制の特徴の1つは、使用者が解雇を行うための要件が他のASEAN各国と比べて緩やかで、会社側が比較的容易に雇用契約を終了することができる点が挙げられる。以下では、シンガポールにおける(1)一般的な解雇の要件と、(2)解雇に必要な手続を紹介する。

  1. 1. 解雇の要件
  2.  シンガポールにおいては、使用者が雇用契約を終了する場合、雇用契約に定められた事前通知等の手続を履践すれば解雇は有効であり、解雇の正当事由は要件とはされていない。また、使用者が自己都合により雇用契約を終了する場合であっても、労働組合・裁判所・所轄官庁の許可の取得等の手続を経ることは要件とされていない。さらに、解雇に際して退職金等の金銭の支払は法令上雇用契約を終了するための要件として定められていない。

     したがって、使用者は、以下の2.に記載した手続を経ることによって、原則として雇用契約を終了することができる。ただし、産前産後の休業期間中の解雇等、一定の場合には解雇が制限される場合があるため、注意が必要である。

  3. 2. 解雇手続
    1. (1) 予告通知期間のある解雇
    2.  会社が従業員との間の雇用契約を終了する場合、雇用契約に予告通知期間に関する定めがあるときは、定められた予告通知期間に従って書面による事前通知を行う必要がある。ただし、雇用法(Employment Act)が適用される従業員との間の雇用契約を終了する場合、法令上定められた以下の予告通知期間を下回ることはできない。

       ・雇用期間が26週間未満の場合: 1日以上

       ・雇用期間が26週間以上2年未満の場合:1週間以上

       ・雇用期間が2年以上5年未満の場合: 2週間以上

       ・雇用期間が5年以上の場合: 4週間以上

       また、これらの予告通知期間に相当する期間につき発生し得る賃金を支払うことにより、通知をすることなく雇用契約を終了することも可能である。

    3. (2) 即時解雇
    4.  労働者が雇用条件に反する違法行為を行っている場合、使用者は、十分な調査の後、これを理由として通知をすることなく当該労働者を解雇することができる。