フィリピンにおける倒産処理

2016年12月更新

 フィリピンにおける倒産処理においては、まずは、事業を継続しながら倒産処理を行う会社更生が検討され、更生の余地がないと判断されると清算手続が行われる。本稿では、この会社更生及び清算手続について概要を紹介する。

  1. 1.会社更生
  2.  会社更生手続を開始する方法としては、?一般更生、?事前合意更生、?裁判外合意更生の3通りが認められている。

  3. (1) 一般更生
  4.  債務者から申立てる場合には、株主総会の3分の2以上の多数による承認が必要である。他方で、債権者から申立てる場合には、その債権者の債権額が1000万フィリピンペソ(約2356万4000円)以上であるか、発行済み株式の25%以上を保有している必要がある。

     申立に不備がなければ、裁判所は更生開始命令を発する。開始命令と同時に中止・停止命令が出され、債務者に対する債権の執行は全て禁止、中止され、また、債務者による財産の処分や債務の返済行為は全て禁止される。

     また、更生開始命令と同時に更生管財人が任命される。この更生管財人は、フィリピン国籍を有するか、直近6ヶ月間フィリピンに居住していたことが必要であるが、弁護士等の資格保有者であることは必ずしも要求されず、企業が就任することも認められている。

  5. (2) 事前合意による更生
  6.  債務者作成の更生計画に対して、債務額全体の3分の2以上に相当する債権者の承認があれば、債務者は、裁判所に対し、事前交渉による更生計画の承認を申立てることができる。

     申立に不備がなければ、裁判所は、更生管財人を任命したうえで、債権者や利害関係人に異議申立の機会を与える。異議がない場合及び異議に理由がない場合には、裁判所は、更生計画を承認する。

  7. (3) 裁判外合意による更生
  8.  債務者作成の更生計画に対して、債務額全体の85%以上に相当する債権者の承認があれば、その更生計画を公告することで、裁判所の関与がなくとも、裁判所による更生計画の承認があったのと同様の効果が生じる。

  9. 2.清算
  10.  清算手続には、債務者が申立てる自己清算と、債権者が申立てる債権者清算がある。

  11. (1) 自己清算の開始条件
  12.  自己清算手続は、債務者が管轄裁判所に適式な方式により申立てることで開始される。

  13. (2) 債権者清算の開始条件
  14.  債権者清算手続は、合計して、債権額が1000万フィリピンペソ(約2356万4000円)以上であるか、発行済み株式の25%以上を保有している3名以上の債権者が共同して、管轄裁判所に適式な方式により申立てることで開始される。

  15. (3) 清算命令
  16.  申立に不備がなければ、裁判所は清算命令(破産宣告)を発する。同時に清算人が選任され、債務者の財産管理権は清算人に移る。債務者が法人の場合には、この時点で解散したものとみなされる。

     清算人は、フィリピン国籍を有するか、直近6ヶ月間フィリピンに居住していたことが必要であるが、弁護士等の資格保有者であることは必ずしも要求されず、企業が就任することも認められている。

  17. (4) 清算手続の完了
  18.  清算人は、清算計画書を作成して裁判所に提出し、裁判所の承認を得た後に、この清算計画書に従って、資産の換価、配当等を行う。

     この計画の完了を裁判所が承認すると、法人登録が抹消され、清算手続は完了する。

    以上