フィリピンにおける資産の保有(不動産)

2016年10月更新

  1. 1.外資規制
  2. (1) 土地
  3.  フィリピンでは、フィリピン国籍の者か、フィリピンの国内資本が60%以上の企業にしか、フィリピンの土地を相続以外で所有することは認められていない(フィリピン憲法)。

     憲法に反して、外国人がフィリピン人から土地の譲渡を受けても無効である。この規制を回避する目的でフィリピン人の名義を借りるような行為は、共和国法第180号(いわゆる「アンチ・ダミー法」)によって刑事訴追されるリスクがある。

     したがって、日本企業がフィリピンの土地を利用するためには、賃借による必要があるところ、フィリピンでは、外国人や外国法人による土地の賃借は認められており、最長25年間私有地を賃借することが可能である。1回に限定はされるが、さらに25年間までの更新が可能である。

     なお、フィリピンは、土地については国有制度を採用している国ではあるが、商業地のほとんどは、すでに政府から私人に譲渡されており、フィリピンへの進出企業は、通常は私人から賃借することになる。

  4. (2) 建物
  5.  他方で、建物については、外資による取得に関し、土地の場合のような厳格な規制は存在しない。戸建住宅やコンドミニアム・ユニットを所有することも可能である。もっとも、一定の制約はあり、例えば、コンドミニアム法では、コンドミニアムの底地がコンドミニアム・ユニット所有者の共同所有である場合には、土地と同様の規制がかかる。また、コンドミニアムの底地の所有者が、コンドミニアム・ユニット所有者で構成される別法人(コンドミニアム企業)である場合には、外国人や外国法人が所有するユニット数は、コンドミニアムの全ユニット数の40%未満でなければならない。他方で、コンドミニアムの底地が借地である場合は、外国人や外国法人のユニット所有に制限はない。

  6. 2.不動産を借りる際の注意点
  7. (1) 登記証明書原本の閲覧の重要性
  8.  フィリピンでは、トレンズ・システムという登記制度が採用されており、この制度に基づいて、政府から登記証明書が発行される。

     登記証明書には、所有者の氏名、身分、住所、抵当権の内容、賃借権の負担の有無等が記載されている。

     フィリピンにおいては、土地の所有権の証明書とされる複数の偽造文書が存在することもあり、この登記証明書原本の閲覧は重要である。納税通知書にも土地の所有者の記載があるため、これを登記証明書に代用するケースもあるが、納税通知書は比較的容易に入手可能なものであるので、やはり、不動産を賃借する場合を含め不動産取引の際には、当該土地の登記証明書の原本の確認は必要である。

  9. (2) 賃貸借契約と登記
  10.  フィリピンでは、1年間以上の賃貸借契約を締結する場合、契約書がない限り強制力がない。さらに、賃借権の第三者対抗要件として、公証人による認証及び登記が必要である。

     つまり、日本企業がフィリピンでオフィスや店舗を賃借する際には、必ず、賃貸借契約書を作成したうえで、その契約書を公証役場で認証してもらい、登記所等で賃借権の登記をしなければならない。もし、この手続を行わなかった場合、最悪、オフィスや店舗からの即退去を強いられることになる。

     フィリピンでは、日本とは異なり、契約の成立要件に書面化を要求するケースが多く、細かな条件などについて日本では口頭での約束で済ませてしまうことも見受けられるが、フィリピンにおいては、そのような対応は避け、必ず書面化しておくことが重要である。

  11. (3) 賃借期間
  12.  前述のとおり、フィリピンでは、外国籍の個人や外国法人は最長25年間私有地を賃借することが可能であり、さらに25年間以下の更新を1度することができる。

     この点、例外として、PEZAの登録企業が、PEZAの経済特区内の土地を賃借する場合には、賃借期間は50年を超えない期間とされ、さらに25年間以下の更新を1度することができる。

    以上