フィリピンにおける労働法制(解雇規制)

2016年10月更新

 雇用主側の都合による雇用契約の解除(解雇や雇止め)に関しては、フィリピンでは、非常に厳格な要件が課されている。従業員の解雇が適法とされるためには、フィリピン労働法の要件及び手続を遵守して手順を進める必要がある。

  • (1) 実体的な要件(いずれかを満たすことが必要)
  •  ① 従業員側の事情(正当化される理由)

     ・重大な不正行為があった場合や雇用主の適法な業務命令に意図的に従わない場合

     ・重大で習慣的な職務怠慢

     ・詐欺や意図的な背任行為

     ・雇用主やその家族等に対する犯罪行為

     ・前記事項に類した事情

     ② 会社側の事情(許可される理由)

     ・省力化機械の導入

     ・人員の余剰

     ・損失防止目的の事業縮小

     ・活動の閉鎖・停止

     ③ 病気

     ・従業員が何らかの病気に罹患し、継続的雇用が法令上禁止されているか、または、その従業員及び同僚の健康状態に悪い影響を与える場合

     ・管轄の公的医療機関から、適切な治療を施してもその病気を6ヶ月以内に治癒することはできないという診断書が発行された場合

  • (2) 手続的な要件(実体的な理由に対応する手続を踏むことが必要)
  •  ① 従業員側の事情(正当化される理由)

     ・雇用契約解除の理由を明記した書面による通告

     ・聞き取りや会議を実施し、従業員に、嫌疑に対して答弁し、自らの証拠を提示し、雇用主が提示した証拠に反論する機会を与える。従業員が望めば、弁護士による支援も認める。

     ・あらゆる状況を適切に考慮した上で、従業員の雇用契約解除を正当なものとする理由が立証された旨記載した書面による通告を従業員に与える

     ② 会社側の事情(許可される理由)

     ・雇用主は、雇用契約解除の1ヶ月以上前に、従業員と労働雇用省双方に書面による通告を与える。

     ・雇用主は従業員に解雇手当を支給する。

     ・解雇手当の額は、省力化機械導入や人員余剰による場合は、勤続年数1年あたり1ヶ月分の給与額。

     ・事業縮小や深刻な事業の損失によらない閉鎖を理由とする場合は、勤続年数1年あたり2分の1ヶ月分の給与額(ただし、1ヶ月分の給与額が最低額)。

     ・深刻な事業の損失を理由とする事業閉鎖の場合は、解雇手当の支払いの必要はない。

     ③ 病気

     ・雇用主は、従業員に、勤続年数1年あたり2分の1ヶ月分の給与額を支給(ただし、1ヶ月分の給与額が最低額)。

    以上