インド 会社の種類・構成・設立

  1. 1. 会社の種類
    1. (1) 公開会社・非公開会社・一人会社(法第3条1項)
    2.  インド会社法は、会社の構成の見地から、①公開会社(public company)、②非公開会社(private company)、及び③一人会社(One Person Company)の3つの形態の会社を規定している。

      1. ① 公開会社(法第2条71項、3条1項 (a))

         公開会社とは、非公開会社ではない会社を意味するものと定義されている。なお、会社法施行時において公開会社の最低資本金は50万ルピーとされていたが、2015年改正によりこの要件は撤廃された。

         また、公開会社においては、その株主数の上限はないが、7名以上の株主を要する旨が規定されている。

      2. ② 非公開会社(法第2条68項、3条1項 (b))

         非公開会社は、その付属定款に以下の事項が規定されている会社を意味するものと定義されている。

        • 株式譲渡制限
        • 株主数を200名以下に制限
        • 有価証券の公募の禁止

         なお、会社法施行時において非公開会社の最低資本金は10万ルピーとされていたが、2015年改正によりこの要件は撤廃された。

         また、非公開会社の株主数については、上記のとおり上限を規定するとともに、その下限を2名とする旨が規定されている。

      3. ③ 一人会社(法第2条62項、3条1項 (c))

         一人会社とは、2013年インド会社法において新設された会社の種類であり、株主が1名のみの会社を意味するものと定義されている。一人会社が認められたことにより、完全子会社の設立の可能性が期待されたが、一人会社における株主は自然人を想定しており、会社を唯一の株主とする完全子会社の設立は現状では認められていない。

    3. (2) 有限会社・無限会社(法第3条2項)

       また同法は、上記の種類の会社につき、以下のいずれかの種類をとり得る旨を規定している。

      1. (a) 株式有限責任会社(company limited by shares)

         株主有限責任会社とは、会社の基本定款により、株主が保有する株式につき未払部分があればその未払額までに株主の責任が制限されている会社を意味すると定義されている(法第2条22項)。

      2. (b) 保証有限責任会社(company limited by guarantee)

         保証有限責任会社とは、会社の基本定款により、会社清算の際に会社資産への寄与を約する額まで社員の責任が制限されている会社を意味すると定義されている(法第2条21項)。

      3. (c) 無限責任会社(unlimited company)

         無限責任会社とは、社員の責任に制限がない会社を意味すると定義されている(法第2条92項)。

  2. 2. 会社の設立
  3.  インド会社法に従った会社設立手続きの概要は以下のとおりである。

    1. (1) 事前準備
      1. ① 取締役識別番号(DIN: Director Identification Number)の取得
      2. ② 電子署名認証(DSC: Digital Signature Certificate)の取得

       会社設立に必要な各種申請フォームには、取締役を識別するDINの記載が必要であり、またオンライン申請において必要となる署名はDCSによって代替される。したがって、まず事前の準備としてDIN及びDSCの取得が必要となる。

    2. (2) 商号予約申請

       使用を予定する商号は、会社設立申請前に会社登記局に申請する必要がある(法第4条4項)。商号予約申請が会社登記局によって承認された場合、申請日から60日間当該商号を予約することができる(法第4条5項 (i))。

      商号選定に関する主な要件は以下のとおりである。

      • 商号の末尾は、公開会社の場合には「Limited」、非公開会社の場合には「Private Limited」としなければならない(法第4条1項)
      • 既存の会社の商号と同一又は極めて類似する商号であってはならず、また法律に違反するもの、中央政府が望ましくないと考えるものであってはならない(法4条2項)
      • 中央政府の事前の承認がない限り、中央政府・州政府、これらが設立した機関等と関係を有する、又はこれらから支援されているとの印象をあたえる単語・表現を用いてはならない(法第4条3項)
    3. (3) 基本定款(Memorandum of Association)及び附属定款(Articles of Association)の作成
      1. (a) 基本定款

         基本定款は、主に会社の目的の範囲を記載するものであり、併せて商号、登記事務所が所在する州、発起人名およびその引受株式数・額等が記載される。

      2. (b) 附属定款

         附属定款には、会社の運営に関する事項が記載される。会社法には附属定款の標準モデルが規定され、附属定款において別段の定めがない限りこの標準モデル上の規定が適用されることには注意が必要である。

    4. (4) 会社設立申請

       上記の基本定款・附属定款、その他必要な書類及び申請フォームと共に、登記事務所の所在予定地を管轄する会社登記局に設立申請を行わなければならない。なお、会社設立申請は、商号予約の有効期間中(商号予約申請日から60日以内)に行う必要がある点には注意が必要である。

       会社設立申請に不備がなければ会社が登記され、会社登記局から設立証明書(Certificate of Incorporation)が発行される(法7条2項)。登記された会社は、設立証明書に記載された日から法人格を有する(法9条)。

    5. (5) 会社設立後の主な手続き

       会社の設立後に行わなければならない主な手続きは以下のとおりである。

      • 登記事務所を確保し、及び登記事務所確認書を会社登記局に提出
      • 第一回取締役会の開催(設立後30日以内)
      • 会社名義の銀行口座の開設
      • 発起人から資本金の払込みを受領し、株式を割り当てる
      • 各種税務番号の取得(PAN及びTAN等)
      • 各種許認可の取得、登録(店舗及び施設法、工場法等)

         なお、2013年インド会社法は、発起人による払込みが完了し、払込株式資本が法定の最低資本金額以上となっている旨の宣誓書及び前述の登記事務所確認書を会社登記局に提出しない限り、事業を開始してはならない旨が規定されていたが、2015年改正により該当条文は削除された。