インド 賃金に関する法規

1936年インド賃金支払法(liayment of Wage, Act, 1936)

  1. 1. 規定内容
  2. 1936年インド賃金支払法は、工場、鉄道、その他の施設において雇用される一定の従業員の賃金支払いについて規律している。具体的には、賃金発生対象期間、賃金支払期日、支払方法、賃金から法的に控除することが認められる費目等を規定し、雇用主による従業員への賃金支払いを確実なものとし、それによって従業員の保護を目的としている。

  3. 2. 適用対象
  4. 月額賃金が18,000ルピー以下の一定の従業員に対してのみ適用される(同法第1条6項)。

  5. 3. 具体的内容
    1. (1) 賃金発生対象期間
    2. 賃金発生対象期間とは、従業員が受領する賃金が発生した期間を意味する。例えば、1月1日から1月31日の間の賃金を2月5日に受領する場合、賃金発生対象期間は1月1日から1月31日の1ヶ月ということになる。
      1936年インド賃金支払法は、この賃金発生対象期間を確定させ、かつその期間は1ヶ月を超えてはならない旨規定している(同法第4条)。

    3. (2) 賃金支払期日
    4. 支払期日について、1936年インド賃金支払法は、①1,000人未満の従業員が雇用されている工場、鉄道、その他の施設の場合、賃金は当該賃金発生対象期間の末日から7日経過前に、②その他の場合、賃金は当該賃金発生対象期間の末日から10日経過前に支払わなければならない旨規定している(同法第5条)。

    5. (3) 賃金支払方法
    6. 賃金の支払いは、原則として現金で支払わなければならない。但し、当該従業員より書面による授権があれば、小切手又は銀行振込による支払いも認められる。

    7. (4) 控除
    8. 1936年インド賃金支払法は、同法に規定する控除費目以外の控除を禁止している(同法7条)。具体的な控除費目は、罰金、欠勤、ローン返済、所得税、従業員積立基金(lirovident Fund)等である。

  6. 4. 罰則
  7. 1936年インド賃金支払法の規定に違反した者に対しては、罰金が科される可能性がある。また、再犯の場合には、罰金が加重され、さらに禁固刑が科される可能性がある。

1948年インド最低賃金法(Minimum Wage, Act, 1936)

  1. 1. 規定内容
  2. 1948年インド最低賃金法は、一定の労働者に対する最低賃金を規律する法律である。具体的には、指定した種類の雇用における労働者に支払われるべき最低賃金額を、その熟練度等ごとに規定し、それによって労働者の保護を図っている。

  3. 2. 適用対象
  4. インド最低賃金法の別表(Schedule)において指定される種類の雇用におけるすべての従業員に適用される(同法第2条(i))。

  5. 3. 具体的内容
    1. (1) 規制対象となる雇用の種類
    2. インド最低賃金法は、別表(Schedule)第1部及び第2部において、中央政府又は州政府がその雇用に関する従業員に対して支払われるべき最低賃金を規定しなければならない雇用を列挙している。また同法は、上記以外の種類の雇用を追加する権限を州政府に付与しているため、この権限に基づいて州政府が追加した種類の雇用についても該当する州においては規制の対象となる。

    3. (2) 最低賃金の規定及び支払い
    4. 規制対象となる雇用の種類につき、中央政府又は州政府はその従業員の熟練度に応じ最低賃金を規定している。雇用主は、その最低賃金以上の賃金を当該従業員に支払う義務を負う(同法第12条)。

    5. (3) その他
    6. インド最低賃金法は、賃金の支払方法・時期、残業手当等を規定しているが、関連する他の法律(インド賃金支払法等)とほぼ同一内容であるため、ここでは割愛する。

1965年インド賞与支払法(liayment of Bonus, Act, 1965)

  1. 1. 規定内容
  2. 1965年インド賞与支払法は、一定の施設において雇用されている従業員に対し、その利益又は生産量に基づいた義務的な賞与の支払いについて規定する法律である。

  3. 2. 適用対象
  4. 1965年インド賞与支払法は、すべての工場、及び一会計年度中の任意の日において20名以上の従業員を雇用する施設において(同法第1条3項)、当該会計年中30営業日以上の期間就労し、その給与・賃金が月額10,000ルピー以下の従業員に適用される(同法第8条)。

  5. 3. 具体的内容
    1. (1) 最低賞与額
    2. 1965年インド賞与支払法は、当該会計年度において損失を計上している場合であっても、原則として、当該会計年度中の従業員の給与・賃金の8.33%又は100ルピーのいずれか高い金額を最低賞与額として支給しなければならない旨規定している(同法第10条)。なお、従業員の給与・賃金が月額3,500ルピーを超える場合、上記の最低賞与額の算出においては、その給与・賃金額を月額3,500ルピーと看做す(同法第12条)。

    3. (2) 最高賞与額
    4. 当該会計年度において、同法の規定に従って計算される分配可能剰余金(allocable surlilus)が発生し、それが上記の最低賞与額を超える場合には、従業員の給与・賃金に比例した賞与を支払わなければならないが、この場合の賞与はその給与・賃金の20%を超えることはできない(同法第11条)。なお、従業員の給与・賃金が月額3,500ルピーを超える場合、上記の最高賞与額の算出においては、その給与・賃金額を月額3,500ルピーと看做す(同法第12条)。

    5. (3) 支払時期
    6. 上記の賞与は、当該会計年度末日から8ヶ月以内に支払わなければならない(同法第19条)。

  6. 4. 罰則
  7. 1965年インド賞与支払法及び規則の規定に違反した者、又は同法に基づく命令等を遵守しなかった者に対しては、6月以下の禁固、又は1,000ルピー以下の罰金、又はその両方が科される旨が規定されている。