カンボジアにおける解雇規制

2016年12月1日更新

 カンボジアにおける雇用関係を規律する一般的な法令として、労働法(1997年3月13日、法第CS/RKM/0397/01号。労働法139条及び144条を改正する法律(2007年3月24日、法第NS/RKM/0707/020号)による改正を含み、以下「労働法」という。)が存在している。以下では、カンボジアにおいて、使用者側が、期限の定めのない雇用契約を解除する場合に、労働法上必要とされている一般的な要件・手続を紹介する。

  1. 使用者側が期限の定めのない雇用契約を解除する場合の一般的な要件・手続
  2.  カンボジアにおいては、使用者側が期限の定めのない雇用契約を解除する場合、1.書面による事前通知及び2.解雇の正当理由が必要であり、かつ、原則として3.解雇補償金を支払う必要がある。以下、順に検討する。

  3. 1. 書面による事前通知
  4.  使用者が期間の定めのない雇用契約を解除する場合、契約を終了しようとする当事者は、書面により解雇の事前通知を行わなければならない。事前通知期間は、当該労働者の勤続期間に応じて、原則として以下のとおりである。

    勤続期間 事前通知期間
    6ヶ月未満 7日
    6ヶ月以上2年以下 15日
    2年を超え、5年以下 1ヶ月
    5年を超え、10年以下 2ヶ月
    10年を超える 3ヶ月

     上記の事前通知期間より短い事前通知期間を定める労働契約、就業規則又はその他の個別の合意の条項は無効となるため、注意が必要である。

     また、使用者が、事前通知を行わず、又は、上記の事前通知期間の定めに違反して雇用契約を終了した場合、労働者が上記の事前通知期間内に受け取ることができた賃金及びその他一切の給付に相当する金額を、使用者は補償しなければならない。

     ただし、以下に該当する場合には、事前通知を行う必要はない。

     (i) 契約において定められた試用期間又はインターンシップの場合

     (ii) 一方当事者に重大な不履行があった場合

     (iii) 不可抗力により一方当事者が義務を履行することができない場合

  5. 2. 正当理由
  6.  使用者は、①労働者の能力・適正若しくは言動・態度に関連する、又は、②企業経営の必要性に基づいた、正当な理由がない場合には、雇用契約を解除することはできない。かかる正当理由の具体的な内容については、法律上定められていないため、これまでの先例等を参考にしながら、個別に判断する必要がある。

     使用者がかかる正当理由なく労働者を解雇した場合、当該労働者は、使用者に対して、前述の事前通知に代わる補償及び解雇補償(本稿3.を参照されたい)とは別に、損害賠償を請求することができる。かかる損害額については、当該労働者は、本稿3.に記載した解雇補償金と同額を請求することができ、この場合、当該労働者は、損害額を証明する必要は無い。かかる損害賠償金については、当該労働者は、解雇補償金と一括して支払うように請求することができる。

  7. 3. 解雇補償等の支払
  8. (1) 使用者が、雇用契約を終了した場合、原則として、当該労働者に対して、以下の金額の解雇補償金を支払わなければならない。

    勤続期間 解雇補償金の金額
    6ヶ月以上12ヶ月以下 7日分の賃金及び付加給付に相当する金額
    12ヶ月を超える 勤務した各年*に対して、15日分の賃金及び付加給付に相当する金額
    (ただし、6ヶ月分の賃金及び付加給付に相当する額を上限とする。)

     *勤続期間が1年を超えている場合には、6ヶ月以上の勤務は、1年間の勤務とみなされる。

     かかる解雇補償金は、労務が終了した日から48時間以内に支払われなければならない。 

     上記にかかわらず、労働者による重大な債務不履行を理由とする解雇の場合には、使用者は、解雇補償金を支払う必要はない。

以上