カンボジアにおける現地法人の運営

2016年12月5日更新

 外国資本がカンボジアで現地法人を運営する上で重要と思われる以下の項目に関連する規律について、実務上用いられることが多いと思われる非公開(私的)有限責任会社(以下「非公開会社」という。)を前提として検討する。

 1. 取締役

 2. 取締役会

 3. 株主

 4. 株主総会

 5. 監査役

 以下の記載は、主として、2005年に制定された会社法(2005年6月19日、法第 NS/RK/0605/019号。以下「会社法」という。)に基づいている。なお、非公開会社の設立に関する規律については、本ウェブサイト国際コンテンツ内の「カンボジアにおける事業拠点の設置」を参照されたい。

  1. 1. 取締役
  2.  非公開会社は、最低1名の取締役を有している必要がある。取締役は、会社の事業・業務につき管理を行い、定款において付与されている場合には以下の権限を有する。

     (i) 執行役員の任免及びその具体的権限の付与

     (ii) 執行役員の報酬の決定

     (iii) 取締役の報酬額に関する株主総会への議案の作成・提出

     (iv) 手形、社債その他の債務証書の内容の決定及び発行

     (v) 定款変更、合併、重要財産の譲渡、解散及び清算についての株主に対する提案

     (vi) 配当の宣言

     (vii) 新株発行

     (viii) 借入

     (ix) 証券の発行等

     (x) 保証

     (xi) 会社財産に対する担保権の設定

     取締役となるためには、法的能力を有する18才を上回る年齢の自然人であれば足り、その他の資格要件は要求されていない。なお、取締役の国籍・居住地については、会社法上、制限は定められていないため、外国に居住する外国人も取締役に就任することができる。ただし、現行の税務登録手続において、会社代表者の居住証明の提出が要求されている点には、留意が必要である。

     取締役は、株主総会の普通決議により選任される。取締役の任期は2年であり、再任することができる。

     取締役は、理由の有無にかかわらず、当該取締役の選任に議決権を有する株主の過半数の賛成により解任することができる。また、取締役は、会社に対して書面により通知することで、何時でも辞任することができる。

  3. 2. 取締役会
  4.  会社法上、取締役会の設置義務について規定がないため、取締役会の設置は任意であると解される。取締役会の議長は、取締役会により、取締役の中から選任される。取締役会の議長又は総取締役数の3分の1以上の取締役は、取締役会を招集することができる。取締役会は、3ヶ月に1回以上開催する必要がある。取締役会の開催場所は、定款に別段の定めがない限り、カンボジア国内で開催される。

     取締役会の定足数は、総取締役の数の過半数の取締役の出席である。各取締役は、各々一議決権を有する。取締役会の決議は、出席取締役又は代理人の過半数の賛成により可決される。

     取締役会の議事は、取締役間の書面のやりとりによっても原則として行うことができる。この場合、各取締役は、検討及び決議のために提案された議案の内容、関連する情報並びにかかる議案についての投票用紙を受け取り、全取締役が議案に賛成票を投じた場合、当該議案は取締役会により承認されたものとみなされる。

  5. 3. 株主
  6.  株主は、株式の払込金額の範囲でのみ、会社に対して責任を負う。非公開会社の株主数は、原則として、2名以上30名以下である。株主は1名であっても非公開会社を設立することが可能であり、会社法上は単独株主有限会社と呼ばれ株主間に関する規定については異なる取扱いを受けるが、その他の点については、非公開会社と同様に取り扱われる。

  7. 4. 株主総会
  8.  会社の取締役は、会社の設立後12ヶ月以内に、年次通常株主総会を招集しなければならず、また、何時でも臨時株主総会を招集することができる。また、51%以上の議決権を有する株主は、取締役に株主総会の招集を求めることができ、取締役が当該招集請求を受領してから21日以内に株主総会が招集されない場合には、当該株主は自ら株主総会を招集することができる。

     株主総会は、原則として、会社の定款又は取締役が定めたカンボジア国内の場所において開催されるが、議決権を有する全ての株主の同意がある場合には、カンボジア国外において開催することも可能である。

     株主総会は、株主総会招集通知に記載された事項、及び、株主から提案された事項について、決議をすることができる。

     株主総会の決議には、普通決議及び特別決議の2種類が存在している。

     主な普通決議事項は、以下のとおりである。

     ・ 取締役の選任

     ・ 監査役の選任及び報酬の決定

     ・ 監査役を選任しない旨の決議

     また、主な特別決議事項は以下のとおりである。

     ・ 定款の変更

     ・ 合併の承認

     ・ 解散

  9. 5. 監査役
  10.  監査役は、個人又は公認会計士事務所において業務を行う公認会計士と定義されている。監査役は、会社法により要求される計算書類について株主への報告のために必要な調査を行う。

     監査役は、原則として年次通常株主総会により選任され、その報酬は株主総会又は取締役会により決定される。

     公衆に対して証券を発行していない会社又は一人以上の者に保有されている発行済証券の無い会社は、監査役を設置しない旨の決議をすることができる。かかる決議を行っていない場合、裁判所から監査役の設置を強制され報酬の支払を求められる可能性があるため、留意が必要である。

     監査役は、株主総会に出席する義務があり、これに違反した場合には、100万リエル(約28,000円)以上1000万リエル(約285,000円)以下の罰金若しくは6ヶ月以下の収監又はこれらが併科されるため、注意が必要である。

    以上