カンボジアにおける外資投資規制

2016年12月1日更新

 カンボジアにおける投資を規律する投資法(1994年8月5日、法第03/NS/94 号。投資法改正法(2003年3月24日、法第NS/RKM/0303/009号)による改正を含み、以下「改正投資法」という。)においては、土地の所有権に関する場合を除き、投資家が外国人投資家であることを理由として差別的な取扱いを受けない旨が規定されており、カンボジアにおいては、外資規制は、建前上は存在していないということがいえる。これは、ポル・ポト政権時代に、農業以外の産業がほぼ壊滅状態となったことで、カンボジア国内には保護すべき地場産業がほとんど存在しなかったことが理由の1つと考えられる。

 ただし、カンボジアは、法整備が現在進行しつつある段階にあるため、法律相互の記載に不一致があったり、監督官庁によって解釈・運用が異なったりする場合が少なくなく、また、個別の業法において、上記の建前とは異なって、外国資本の出資比率の割合の制限が定められていたり、特別な許認可の取得が求められていたりする場合があるため、注意が必要である。

 本稿では、カンボジアにおいて投資が禁止されている事業分野及び個別法において外資規制が定められている可能性の高い分野を紹介する。なお、カンボジアにおいては、本稿で検討する規制に加えて、外資の土地所有・外国人の就労等に関して制限が存在しているため留意が必要である。

  1. 1. 投資禁止事業
  2.  改正投資法の下位規範において、企業の国籍を問わず投資が禁止されている投資事業として定められている4つの事業の概要は以下のとおりである。

     (1) 向精神薬・麻薬物質の製造・加工

     (2) 国際的な規則又はWHOにより禁止され、公衆衛生及び環境に影響を及ぼす、有毒化学物質・農薬・及び化学物質を用いたその他の商品の製造

     (3) 外国から輸入した廃棄物を用いた発電等

     (4) 森林法が禁止する森林開発事業

     なお、従前は、(5)として、法令により禁止された投資活動との記載があったが、2007年に削除された。

  3. 2. 例外的に外資規制が存在する事業分野
  4.  上記のとおり、改正投資法上は、土地に関する制限を除き、外国人投資家は、外国人投資家であるという理由により差別的な取扱いを受けないことが保障されている。しかし、実際には、タバコ・アルコール飲料の製造、映画の製作、出版・印刷、ラジオ・テレビ放送、医薬品の輸出入等の一定の事業分野については、主に監督官庁が定める個別の業法において、外国資本の出資比率の割合の制限が定められていたり、特別な許認可の取得が求められていたりする場合がある。したがって、実際にカンボジアへの進出を検討する場合や、カンボジアの会社を対象としてM&Aを行うにあたっては、最新の法改正や運用状況に注意を払うと共に、予定している業務を所轄する監督官庁の法令において個別の規制が定められていないかを確認し、必要に応じて当該規制当局と事前の折衝を行い、必要な許認可・ライセンスの種類・取得手続・必要書類を事前に把握しておくことが重要であると思われる。

  5. 3. 資本金に関する規制
  6.  カンボジアに会社形態で進出する場合、カンボジアの会社は、定款に定めがない場合、少なくとも額面額4,000リエル(約114円)の株式を最低1,000株発行しなければならない旨が定められていることから、最低資本金額は、400万リエル(約114,000円)と解される。

以上