ブラジル フランチャイズ・ビジネスの現状

 ブラジル経済全体は、資源安、レアル安、政権の不安定などから、芳しくない状況が続いているが、ことフランチャイズ業界に関してはプラス成長を続けている。その要因は、2億人を超える人口の大半が中産階級化し、旺盛な消費意欲を有しているためである。

 2014年度のフランチャイズ・ビジネスの総売上高は、1,289億レアル(4兆8,982円相当:1レアル38円換算)、フランチャイズ・ネットワーク数は、2,942に達している。このネットワーク数は、中国、米国、韓国に次いで世界4位の規模である。特に近年は、いわゆるマイクロ・フランチャイズが活況を呈しており、2,942のネットワークのうち、433を占めるまでに至っている(12.8%、以上ブラジルフランチャイズ協会:ABF調べ)。

 また、フランチャイズ・ビジネスにおける閉店率は、3.7%と低い水準で推移している(2014年、ABF調べ)。ブラジルの小企業・零細企業支援サービス機関(SEBRAE)によれば、これは独立零細事業者と比べて相当高い成功率といえ、ブラジルにおけるフランチャイズ・ビジネスの投資対象としてのリスクの低さ、有望さを物語るデータと言える。

 ブラジルのフランチャイズ・ブランドは、海外にも積極的に展開している。2013年時点で、112のブラジル発ブランドが、のべ53カ国に展開されている(ABF調べ)。他方で、海外ブランドのブラジル展開も極めて盛んであり、SUBWAY、McDonald’s、AM/PM、Bob’s
burgerなどが成功を収めている。日本企業でも、KUMONは古くからブラジルに進出し、成功を収めている。近年では牛丼チェーンとして知られる「すき家」が展開を開始するなど、急速に認知度を高めつつある。

 さらに、現在フランチャイズ・ビジネスの主戦場となっているのは、南半球随一のメガシティであるサンパウロ(人口約1100万人、都市圏人口約2000万人)、ブラジル第2位の都市であるリオ・デ・ジャネイロ(人口約650万人)を中心とする、主に国土の東側(都市部)であり、国土西側については、今後、フロンティアと成り得る可能性を秘めている。

 以上のとおり、ブラジルのフランチャイズ・ビジネスには、十分な実績と成長要素があることに加え、近時ブラジルでは「手巻き寿司」等の和食ブームが起きており、アジアンフード店の看板メニューとして寿司、焼きそば等を掲げる飲食店が増えているほか、手巻き寿司一本でフランチャイズ展開を進めるブランドが複数立ち上がっていることなどを見れば、ブラジルは日本のフランチャイズ・ブランドの新たな進出先としての可能性を秘めているといえる。